水害や土砂災害から車を守るためにはどうすればよいか

 自動車趣味をやる者としては、各種の災害に際してまず車の安全を確保することが最優先(おいおい)だろう。家族は車の安全確保のために手伝ってもらうか、先に自主避難してもらう。
 地震や津波に比較して水害や土砂災害は比較的予測が容易だ。前兆があるためである。例えば気象レーダーを見ることで数時間先の雨の量を予測できる。大雨が降る場合は、公共交通機関がストップする=会社が休みになるため、自分自身で車を安全な場所に移動させられる可能性が高くなる。

 今までの被災車両を通じて対策を検討するならば、以下のような手段が適切だろう。なお、各自治体でハザードマップが作られているので、それも参考の上で対応のこと。ハザードマップは、土砂災害・川の氾濫による洪水・津波・地震・火災・・・と様々な分類があるため、各自適切なもので判断すること。

1.水害や土砂災害が起こりそうだが、時間の猶予があると予測される場合
 どこかのショッピングモールなど、水攻めにあわないところに車を移動させる。

2.水害や土砂災害まで時間がないと予測される場合
 一見平地に見える場所でも高低差がある。数センチの高さの差でかまわない(これが結構効く)。土砂の通り道にならない、他の人の避難の邪魔にならない、かつ駐車場より高い場所に車を移動させる。

3.いよいよヤバイとなった場合
 AZ−1をジャッキアップし、可能な限り水没を避ける。その際、バッテリー、シート、コンピューター、フロアマットを外しておく。フロアカーペットへの泥の堆積はやむを得ないが、被害は最小限にとどまる。余裕があれば、ヘッドライトも外しておきたい。
 4輪ともジャッキアップできればベストだが、フロントもしくはリアしかジャッキアップできないとなった場合はどちらを優先するか? 議論の分かれる所と思われるが、個人的にはリアを上げることを優先したい。エンジン・オルタネータ・コンプレッサがあるためだ。そしてAZ−1専用部品であるリアキャリパを保護する意味もある。フロントのキャリパはアルトのものが流用できる(型式によって流用できないものもある)ので、なんとかなりそうだ。



 話は変わって、もう一度解体屋周辺の土砂災害現場を見ていく。この写真をいろいろ分析することによって、自分が住んでいるところが土砂災害現場となりうるかどうか、ある程度判断できるようになる。

 下の写真は、解体屋までの北ルートの土砂災害現場である。ニュースでよく出てきた安佐南区八木地区の裏山にあたる部分だ。人が住んでいないことからローカルニュースでも取り上げられなかった場所だが、様々なところで土砂・がけ崩れが発生している。特に、丸で囲った部分は規模が大きい。



 この場所を被災前の衛星写真と比較すると、とんでもないことが見えてくる。矢印部分が上の写真で最も大きな土砂崩れのあった場所だが、この付近の緑の様子がおかしい。密林になっておらず、土が見えているような状態に見える。つまり、昔から小規模な土砂崩れなどが発生し、木が育っていない部分だと思われる。皆さんのお住まいの周囲に、こんなところは見られないだろうか? 詳細は専門家の判断にゆだねるとしても、もし見つかったら気をつけておいた方がよいと思われる。



 今回の土砂災害現場ではないが、ちょっと離れたところにこれまたとんでもない場所を見つけてしまった。昔、明らかに土石流が発生したと思われる箇所に家が建っているのだ。実際、砂防ダムが存在する。



 ここを開発した業者は、「しめしめ自然にできたなだらかな斜面があった。これで造成の手間が省ける。」と思ったに違いない。実際、宅地開発が進んでいないはずの1947年に米軍が撮影した写真では、周囲と比べると木が成長してないように見える(土地の向きが違うが、これは撮影した米軍がいい加減だったため)。これらの写真は国土変遷アーカイブより抜粋



 このようにいろいろな場所の過去の航空写真を国土変遷アーカイブで見ていると、またしても土石流もしくは水害の跡らしきものを見つけてしまった。しかも付近をストリートビューで探ってみると、「災害之碑」と掘られている記念碑を見つけることができた。下の写真は、実際に現地に行って撮影した物である。



 昭和47年に発生したとのこと。



 素人ながらも、これだけホイホイと土石流やら水害やらの跡を見つけることができるとは。自分が住んでいる過去の災害を確認できるような時代になってしまったのだ。が、あくまでも素人のやり方。実際、今回最も大きな被害の出た地区の写真を比較すると、過去に土石流が起こったとは素人には判別しがたいので、あくまでも参考までに。白黒の写真は1962年撮影のものだ。カラー写真の矢印部分は、土石流が発生した一部分を示している。



 以上、備えあれば憂いなし(のはず)。万一の場合に備え、人の避難場所だけでなく車の避難場所も目星を付けておこう。