ミュージアムツアー、その2

 工場見学は写真撮影禁止のため、文字だけで様子を説明する。

 工場では、ちょうどロードスターが流れていた。すると例のごとく「ファイナルのギア比がなあ・・・」と言われてしまった(^_^;)。
 面白い質問では、「ブロードキャスト(どんな部品を組み付けるのかを指示する表示)にVINは映っているのか」というのがあった。見学者用にブロードキャストのモニターがあるが、ここにはどうやら表示されない模様。多分、ステーション(工場作業員の持ち場)によっては映っているモニターもあるとは思うが、VINに対する質問まで出るとは思わなかった。
 インパネを組み付けるステーション前では、「インパネを外すのは苦労するんだよ。なんであんなに簡単に組み付けられるんだ。」といった感想も。他にもFoMoCoマークに関する話とか、いろいろ出た。こんな質問が出るということは、車を完全に分解したことがありますな。自分で車を分解して、また元に戻すことができる。個人的には趣味の車に乗っている人の「あるべき姿」(というか保有すべき技術)の1つだと思う。


 次は未来展示エリアだ。



 実はここ、私が定義する「マツダミュージアムのオーパーツ」が実にわかりやすく展示してある。それは東京モーターショーに出展された水素ロータリーのHRX。なぜかフロントノーズにカモメマークが付いている。年代的にあり得ない間違いだ。



 これはミュージアム展示車両の中で、最も発見しやすい間違いの1つなのだが、誰も突っ込んでくれない。HRXが、ボケをかましても突っ込んでもらえないお笑い芸人のように見えて、私はこの車を見るたびに不憫でならない。
 私はツアーの際に、自分が突っ込みを入れる前に周囲がどう反応するかまず観察する。ロードスター20周年のツアーの際は、誰も気がついていない様子だった。しょうがないので「なんでHRXにカモメマークが付いているのか、よくわからん」と具体的に突っ込んだところ、「皆さんさすがにお詳しいですねえ。私も前々から変だと思っていました」とミュージアムの案内係の人が答えてくれただけ。皆さんやはり気がついていないようだった。
 一方オーストラリア人の場合はというと・・・やはり気がついていない感だった。そこで彼らの力を試すことも含め、単に「このHRXはおかしい(This HRX is strange.)」とだけ私が言うと、帰ってきた答えが「Exactly!!」。私が具体的に突っ込む前に既に答えがわかっていたのだった。
 どうやら、車を一瞥するだけで違和感を感じ、どこが変なのかわかるようだ。こういう探索感覚は、濃い日本人とかわらないなあと思った次第である。


 あと、彼らが熱心にみているものがあった。



 それは水素ロータリーハイブリッドのエンジンモデル。



 ハイブリッドに興味があるのかと思っていたら、実は全然違っていた。電動モーターアシストターボチャージャーを見ていたのだ。改造何でもありのオーストラリアだからこその着目点といえる。こんな見方をする人がいるんだと驚いた。



 ミュージアムのショップでは、大量のグッズを大人買い。お土産というかオーストラリアに帰ってから高値で売り抜けるつもりなのかもしれないが、あまりの大金に、私としては「円高で申し訳ない」というしか言葉がなかった。





 以上、オーストラリアからやってきた濃い人のミュージアム見学ツアーでの反応を、ロードスター20周年ミーティングの前日に行ったミュージアムツアーでの反応と比較してきたが、結局のところ、比較する相手が悪かったというところか。

 仮に、
能力=広島からの距離÷(知識×技量)
  ↑
同じ知識と技量を持っている人がいるとすれば、広島から距離が離れている所に住んでいる人ほど能力が高いということになる式
という式が成り立つのであれば、彼らに対抗できる日本人はいないだろう。



 次頁では、、ミュージアム見学ツアー終了後の午後からの驚異の行動と、Izakaya experienceを紹介する。