ミュージアムツアー、その1

 オーストラリアからやってきた人のミュージアム訪問回数は、前回記したとおり多い人で8回目。
 一方ロードスター20周年ミーティングの前日に行われたミュージアムツアーに集まった人も負けてはいない。ちょっと話が変わるが、現在の新車及び中古車のナンバーは「広島500」といった三桁ナンバー。広島が3桁ナンバーに移行した時期は、ロードスターで言うと2代目の途中からになる。つまり、初代ロードスターは、どこかの倉庫に眠らせて平成23年に初年度登録したなんて車ではない限り、全て2桁ナンバーになる。
 そこでミュージアムツアーに集まった初代ロードスターの内、2桁ナンバーが何台いるかを数えたところ、全体の40%にのぼった。つまり初めてロードスターを買って乗り続けている人が40%いたといってもいい状況だったのだ。普通に町中を走っている初代ロードスターのほとんどが3桁ナンバーだということを考慮すると、驚異的な数字である。ちなみに三次に集まった初代ロードスターのみを200台カウントしたが、やはり2桁ナンバー率は40%だった(こんなデータを喜んで取っているのは私ぐらいだ)。

 マツダミュージアムの見所は、歴史展示エリア、RE展示エリア、技術展示エリア、U1ライン、未来展示エリアの5カ所になろうかと思う。どのエリアが盛り上がるかは、見る人の経験値によって変わってくる。
 例えば一般の人の場合、一番盛り上がるのは技術展示エリアとU1ラインになる。初めて見る物が多いからだ。一方濃い人は、歴史展示エリアが一番盛り上がる。「マツダ公認の標本」があるためだ。さらに「完全無欠の純正仕様」であるはずの標本に「付いているはずの物」がなかったり、逆に「付いていてはおかしいもの」があったりして、いろいろと突っ込んで楽しめる。
 一番盛り下がるのは技術展示エリア。ここには、車の部品をばらして展示しているが、そんなものはエンジンやミッションの組み替え、ドレスアップをしていく上で自分たちが日常的に見る物が展示されているので、全然面白くないエリアなのだ。喜んだとしても、さわることのできるクレイモデルが置いてある所まで(入り口近傍だけ)。



 以上を踏まえて、日本のロードスターオーナーとオーストラリア人のロードスターオーナーとを比較すると・・・
 まず最初の歴史展示エリアだが・・・「ロードスターの標本」を初めて見るにもかかわらず、日本のロードスターオーナーは全然興味なし。見ている私の方が逆に驚かされた。理由はよくわからない。
 一方オーストラリア人はというと、こちらもあまり興味なし。まあ何度も見たことがあるからと言えばその反応はうなずける。とりあえず、記念写真は撮影した。



 が、このままでは面白くないので「アンダーフロアを見ろ〜。そしてデフケースを見ろ〜」と言った。なぜなら、ミュージアムのロードスターは貴重な「ツルデフ」だからだ。すると、2名ほど床に這いつくばって見てくれたのだが、帰ってきた答えは私が想像していないものだった。「ファイナルのギア比がなあ・・・」と言われてしまった。ツルデフを見て喜んだわけではなかったのだ。初代と2代目のロードスターのファイナルのギア比、つまりデフのギア比は日本と違っていて、みんな日本などの仕様に組み替えるそうだ。日本との視点の違い、もっと言うと車に対する向き合い方に感銘を覚えた。
 次は、ロータリー展示エリア。やはり何度も来ているためか、落ち着いた様子であった。既にいた小学生の一団を先に行かせ、人が少なくなったところで再確認するかのように展示物を見た後・・・





 とりあえず記念撮影。



 技術展示エリアでは、案の定クレイモデルのところでは盛り上がるが・・・



 あとはイマイチ。ただ、ローターの製造過程とスポット溶接の所は興味があったみたいだ。





 オーストラリア人の反応は、ある意味正しい。ファイナルのギア比を気にして自分で組み替えるなどするような人にとっては、技術的に大して面白くないコーナーだからだ。私もミュージアムツアーを組むが、技術展示エリアに興味を持つ人は、基本的にターゲットにしていない。

 以上を見た限りでは、何かリアクションがイマイチなのだが、工場そして未来展示エリアに入ると、彼らの実力に驚かされることになる。