MINI E、その2

 残念ながらボンネットを開けてもらうことができなかったので写真がないのだが、モーターはボンネットの中にある。別のサイトにある写真を見る限りでは、とってつけたような金属の箱の中にモーターとインバーターが仕込まれている。リアにもモーターがあるわけではないのだ。モーターの性能は150kW/220Nm。どのモードかは不明だが、モード走行時の走行距離は240km、一般的な乗車で180kmほど走れるそうだ。走行距離はモードやモーターの出力、車重によって変わるため一概に言えないが、この値だけを見ると、現在のバッテリーの性能では、リアシートを外してまでいろいろやっても240kmしか走れないことになる。

 外観で特徴的なのはテールパイプ。MINI Eには当然ながらテールパイプがない。テールパイプが突き出る部分にはベゼルがしてある。



 ボンネットが開けられないので、ボンネット側からフロア下を撮影し、何かないか探ってみた。が、取り立てて何も見えない。フロア下にカバーがしてあるようにも見えるが定かではない。



 逆にリア側のフロア下を撮影したところ。電池の一部でも見えるかと思いきや、こちらもそれらしいものが見あたらない。電池は完全に室内にあるようだ。ベース車両がFFなので、もともと前側が重くなっている前提で設計された車が、逆に後ろの方が重くなったら、しかも200kgはある電池を高く積み上げた影響で極端に重心が高くなったらどんな乗り味になるのだろうか(これってAZ-1的??)。



 あまり情報の入ってこないMINI Eだが、ある程度の記録は残せたと思う。





 MINI Eとは話は変わるが、I-MiEVと日産のLEAFに試乗する機会があった。電気自動車は静かというイメージがあるが、実際はロードノイズがひどくエンジン付きの車と変わらない。エアコンをつけるとブロアの音で、普通の車との違いがさらにわからなくなる。乗り心地が並外れて変だということもなかった。ただしAZ-1の存在を一旦許容してしまうと、ほとんどの車がまともだと感じるほどダイナミックレンジが広がるため、私の官能評価は全くあてにならない(爆死)。
 電気自動車高負荷時は電気自動車特有のモーター音やインバーター音が出るが、これがなかなか格好良く、私は気に入ってしまった。車の外から音を聞くと耳障りな高音がするのだが、車室内ではGOOD。AZ-1的に言うと、エアクリをキノコタイプのものに変えた時に顕著に表れるタービン音のような音が聞こえる。いかにも加速しているという感じの音で、特にターボ付きの車に乗っている人には、音の面だけでいうと違和感は感じないのではないか。電気自動車特有という点で面白いのは、マスターバック用の負圧を発生するポンプの音が聞こえることだ。ぶ〜、というような金魚鉢に空気を入れるポンプのような音がする。ポンプの振動を感じることはなかったが、これだけはいただけない音である。またLEAFの場合、重い電池を支えるためなのか、シャシーがトラックのようなはしごフレーム状になっていた点も興味深い。

 モード走行ではなく実使用時の走行距離だが、エアコンをOFFにしたままの省エネモードで走って、I-MiEVは広島から三次にたどり着けず、LEAFはなんとか三次まで行けるくらいの距離しか走れないそうだ。広島から三次といってもピンとこない人の方が多いと思うが、例えば同一縮尺の地図でJR広島駅とJR東京駅を重ね合わせると、三次の位置は土浦やつくばあたりになる。三次まで往復が可能ならまだしも、片道走るのがやっとということになれば、現状ではとても実用に耐えない。原付みたいに使用方法や走行距離を割り切ることができるのであれば問題ないが、割り切るにしては車のコストがあまりに高すぎる。

 加えて言うと、電気自動車が走るには現時点では原子力発電所が必須である。原発が停止し、一般家庭でも15%の節電要請が来ている現在、16kWhから35kWhも電気を食う車が増えるなんて、現時点での日本では成立しない。MINI Eを満タン充電する場合、100V12Aの電気を19時間も通電しないといけない。新規原発の建設の停止や既存原発の再稼働が遅れて毎年節電要請が来るとしたらなおさらである。イタリアなど脱原発が推進される他国でも「電気でしか動かないものに絞って電気を使え!」という話になったりして、とても成立しないのではないか。
 2011年6月時点での各種世論調査結果によるとクリーンエネルギー賛成派が圧倒的なのだが、今年の節電を経て不便さを経験すると、また世論が変わるかもしれない。現時点での「クリーンエネルギー」とは、いわば「きれい事」のエネルギーでしかないと個人的には感じている。
 ちなみに・・・我が家で普段から取り組んでいる省エネルギー・省資源対策はというと、冬は部屋の中で服を着込み、夏は究極のクールビズ「パンツ一丁」。窓の外にはすだれをつけて、部屋の温度の上昇を抑える。昼間は照明類をほとんどつけず、夜も2本ある蛍光灯のうち1本しか点灯させない。ティッシュは普通2枚重ねになっているが、2枚に分けて1枚づつ使う。通勤は自転車。車はゆっくり加速で、長時間停車が予想される赤信号時には手動でアイドリングストップ(軽トラ)。太陽光発電は非効率きわまりなく全くナンセンスな代物なので、電卓ぐらいにしか採用していない。当然そのほかいろいろやっているが、環境大臣・経産大臣・東京電力の社長やエネルギー・資源問題を語る人間は、パンツ一丁になってテレビで語って欲しいものだ。