MINI CROSSOVER

 この車がまた、ネジが飛んでいる。検証車であるMINI E以上ともいえる。写真写りが悪いのだが、フロント部分を撮影した写真。普通のMINIに比べて「でこっぱち」になっていることがわかる。RV感を出そうとしたのだろうか。



 側面に目をやると、普通のMINIと違って、5ドアになっていることがわかる。が、これが頭のネジ飛びまくり車の原因になっているのだ。



 内装を見ると、驚くべきものが写っていた(矢印部分)。これ、キャビン中央をぶった切って取り付けられているメンバーなのだ。中国の地場の自動車会社でさえやらないようなことを、先進国の自動車会社がやるのが信じられない。これを決断した経営者もすごいが、これを容認せざるを得なかったMINI設計者の心の内は、忸怩たる思いでいっぱいなのだろうか。右の写真は後席側のメンバーの付け根。



 なんでメンバーを入れる必要があるかというと、5ドアになったためと考えられる。つまりドアが増えた分ボディー剛性が落ち、それを補強するために入れたと考えられる。この推察が本当なら、こんな量産の仕方をすること自体が信じられん。ミリのナットにインチのネジを無理矢理入れたような感じ。ちなみに、変形4ドアハッチバック(リアドアが片側しかない)MINI CLUBMANには、このようなメンバーはない。1枚ドアが少ない分、剛性が確保できているのだろう。
 「ロールバーが入っていると思えばかっこいいんだよ」といわれれば確かにその通りかもしれない。実際、下の写真を見ていただくとおわかりの通り、無理矢理入れたメンバーでさえ意匠にしてしまっている。これには感心するしかない。



 後席側のメンバーの下を見ると、矢印部分に何かある。



 よく見るとシガーライターだった。こんなところにこんなものがあるなんて、あり得ないよ〜。この変態度合いが楽しい。



 シガーライターがメンバーの下にあることから、ひょっとすると仕向けによっては、このメンバーは付いていないのかもしれない。つまり衝突規制がゆるい国にはメンバー無しの、厳しい国にはメンバー付きのMINI CROSSOVERが売られている可能性が考えられる。ならば、この位置にシガーライターがあってもおかしくはない。

 毎回変な車を出してくれるMINIだが、その実態は古い設計の車でバリエーションを増やそうとして、規制に適合させるため切った貼ったをやっている感がある。技術的(というかもっと根本的にいうと力学的)にみてどうにもおかしなMINI EやMINI CROSSOVER、右ハンドル車ではとても使えない構造をしているMINI CLUBMANといい、とうの昔に姿を消したと思われていた変態車が新型車として拝め、こんなにも楽しませてくれるMINIに対し、我々は感謝せねばなるまい。
 キリがいいので、ちょっと短いがレポートはおしまい。来年も変態外車がやってくることを期待する。