フォード・コスワースDFV

 栄光のエンジン展の名にふさわしいエンジンから紹介しよう。フォード・コスワースDFV。20年もの間、F1の世界に君臨したエンジンであり、古き良き時代最後のエンジンなのかもしれない。古き良き時代・・・昔の高性能エンジンとは、もともとOHV用だったエンジンのヘッドを変えてDOHCにしたりして、全く別のエンジンに変えてしまうようなことをやっていた。DFVも先例に漏れず、下の説明書きからすると直4エンジンを2つ合わせたのが始まりというのだから驚かされる。



 栄光のレースエンジン展では、DFVの前期と後期のモデルが展示されていた。クラッシックF1でDFVを目にすることはあるが、エキマニなどがあってエンジン下部の様子までは見られない。それを見ることができる絶好の機会でもある。



 これが前期型。最大の特徴は、機械式インジェクターであることだ。



 Vバンク内に納められているルーカス製の点火系。ルーカスと聞くだけで「すぐ壊れそう」とか「大丈夫かこれ」と条件反射的に思ってしまうのだが、これもまた古き良き時代。



 下の写真は、右側がタイミングベルト側(つまり右バンク)。右から、ウオーターポンプ、遠心分離機と思われる。



 反対側。写真左側がタイミングベルト側。左川ウオーターポンプ、燃料ポンプ・オイル送圧ポンプと思われる。



 かわって後期型のDFV。F3000用に9000rpmでリミッターを効かせると書いてあるが、リミッターをはずすと前期型よりさらにパワーアップしていることがわかる。



 電気式のインジェクターにかわったエンジン。前期型と異なるので比較してみよう。





 電気系は前期型ではルーカスだったのに、後期ではデンソー(日本電装)になっている。やはりルーカスはだめなのか、それともレースの世界から降りたのか。



 歴代優勝車を集めたポスター。



 栄光あるエンジンはこれでおしまい。次頁からは日の目を見なかったエンジンについて紹介しよう。