約50年越しの決着

 海外の超ロングランモデルとして日本に名を馳せているのは、前回紹介したMINIとビートル、そしてフィアット500だ。MINIは、日本車が輸出過剰だと叩かれていた時代に、数ある外車の中で本国(イギリス)で販売された台数よりも、日本が輸入した台数の方が多かった唯一の車である。ビートルはT型フォードを上回る累計生産台数を誇る。いずれ劣らぬ名車だ。この3台を比較することで、決着がついたものが1つある。それはエンジンを前に置くのがいいのか、後に置くのがいいのか、という問題である。






 フィアットとビートルの前モデルはともにRRだった。この2台の基本設計は第二次世界大戦前後にまでさかのぼる。一方、MINIはFFだった。基本設計はスエズ動乱の前後である。
 で、新モデルはみなFFになってしまった(プラットフォームを共通化する必要もあるので)。経緯はどうであれ、新型御三家がでそろったことで乗用車はやっぱりFFがいいと決着がついたといえる。プロペラシャフトなどがない分軽くなるし、抵抗も減るし。仮にリアにエンジンを置くことにこだわったとしても、FFのエンジン・ミッションをそのままリアに持ってくるといったAZ−1のようなやり方しかできないと思う。やはりイシゴニスの先見性は非常に優れていたことが、約50年の時を経て証明されたのではないだろうか。