プレッソが示唆するもの、その1

 AZ−1と同時期に作られ、また白ナンバーであるが故にAZ−1より車格が上であるプレッソ。そのため、AZ−1よりも高い車としての作りでなければならない一方で、コストも安くしなければならない。
 そんな状況で作られた車が20年以上経過するとどうなるか、プレッソが我々に与えてくれる示唆を見ていきたい。なお、プレッソオーナーは別の所に行ってしまい、ほとんど話すことができなかったので、詳細が聞けなかった部分もある。

 まずはエンジン。当時史上最小のV6エンジンだ。今のところ快調。その点は、やはりスズキのエンジンとは出来が違う。



 錆びやすそうなところもチェック。水がたまった跡がよくわかる部分だが、錆が発生していない。ひどい状態で保管されたAZ−1なら、錆だらけになっている部分だ。




 逆に、「AZ−1よりも高い車としての作りでなければならない一方で、コストも安くしなければならない」という部分で歪みが出てしまった点を見ていく。逆に言うと、安いなりの車の構造であるAZ−1であるが故に助かったともいえる部分である。

 ガラスを閉めた時、ウエザーストリップの間にガラスが挟み込まれるような構造をしている(←ちょっとわかりにくい表現。グラスランチャンネルがウエザーストリップにあるといった方がいいかも)。高い安いに関係なく、AZ−1では採用できない構造だ。



 全体的に表面が荒れている。もしAZ−1がこの構造を採用していたら、さらに安い材料が使われたのは間違いないと思われるため、もっとひどい状況になっていたと想像される。



 ドアの開閉を繰り返している内に、一部ドアに巻き込まれてしまったウエザーストリップ。随所に見られ、他のプレッソでも同じような部分で問題が発生していた。



 AZ−1と同様に縮んでいる。あちゃ〜。



 シーミングウエルト(に、なるのかな?)。やはり荒れている。AZ−1の場合、ウエザーストリップしかなく、また直射日光の当たらない部分にあるため、荒れは少ない。



 アンテナの取り付け部。2本のネジで固定されているが、両方とも割れている。それに対し、AZ−1はネジ1本で取り付けられている。1本だと完全に固定されないため、熱による膨張や収縮が繰り返されても、アンテナの台が微妙に動ける構造になる。それが全ての原因でこの割れが発生したとは言えないが、コストをさらにけちってネジ1本で止められたAZ−1の方が、長期耐久性という面では幸いしていると言える。