バッテリー切れになりかかるは、ブレーキがフェードしかけるはで、命からがら帰投しました

 前回のレポートでは、島を1周と1/4程度(約18km)走り慣熟走行が終わったこと、その際バッテリー残量が52%になったため、1回目の充電をしたことを述べた。



 1時間の充電で、バッテリー残量が82%に回復したことも述べた。



 今回のレポートでは、補充電後の走りをレポートする。まずコースは下の地図の通りだ。



 補充電後再スタートし、一旦北に向かい遠回りするようなルートを取った。これは、勾配が10%ほどある坂があるためだ。ここで急勾配を駆け上がる時の力強さがわかる。



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 また、豊島ダブルヘアピンに向かう道は、そこそこのワインディングロードになっている。安全確保のため・ブレーキに負荷をかけてその限界を知るために、各コーナーでは故意の「スローイン・ファーストアウト」に徹した。この場合のスローイン・ファーストアウトとは、コーナー手前でブレーキペダルが折れんばかりの力で踏んで減速し、コーナーを抜けかけたらアクセルをベタ踏みするという走り方である。そうしないと、まともに減速しないし、まともに加速しないのだ。

 まず、急な上り坂に対するインプレ。嫁さんとの二名乗車でもそこそこ加速した。まあこんなもんでしょうという感じ。ただ、同じ坂をレンタカー屋の軽トラとNissan New Mobility Conceptが並走した際、軽トラはついていけなかったそうだ。
 上り坂でのテストが終わったところで、坂の途中にある豊島美術館に嫁さんを降ろし、豊島ダブルヘアピンへ向かうワインディングロードへと向かった。


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ワインディングロード


 次は問題のワインディング。なんと、豊島ダブルヘアピンに入る手前当たりからブレーキパッドの焼けるニオイが漂い始めた。ブレーキの効き自体は問題無いのだが、かなりきついニオイなのでフェード直前の可能性が高い。が、ここで奇跡が生じる。ダブルヘアピンを抜けると豊島直滑降に入る(≒スローインに徹する必要がなくなる)ので、ブレーキが冷やされて復活するのである。もしワインディングがあと500mも続くか、直滑降でブレーキを踏み続けていれば、完全にフェードしていただろう。


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豊島ダブルヘアピン入り口、抜けた直後が豊島直滑降


 コーナリングの限界などの性能は別途触れるが、その他の性能も含めて総合的に考えると、Nissan New Mobility Conceptの限界を知った上で設定されたコースだと考えざるを得ない。特に、フェードしなくて済むタイミングが奇跡的に訪れるあたりに、その意図を感じてしまう。


 豊島直滑降を抜け、家浦港にもどり、2周目の走行が終わった。休むことなく、3周目に入った。調子よく走っていると、豊島美術館周辺の道路上を嫁さんが歩いているのを発見した。何でも、もう全部見終わったのだそうだ。そこで嫁さんを乗せて、再度豊島ダブルヘアピンに向かうワインディングロードを走ることになった。
 スローイン・ファーストアウトに徹した走りをしたため、嫁さんが酔いはしないかと心配したが、そんな気配はなく景色が綺麗だと喜んでいる。特に豊島ダブルヘアピン付近は綺麗で、嫁さんは大喜び。が、例のごとくブレーキがフェードしかけるため、こちらはそんな余裕はない・・・


 3周目も終わりかけたところで、心の余裕のなさから重要な警告を見逃していた。バッテリーの残量である。島キッチンで一度充電し82%まで充電したにもかかわらず、ほとんど空になっていたのだ。目立たないので何の意味もなしていないが、バッテリー警告灯が点灯していた。



 残りの走行可能距離は、なんと3km。これはまずい。スローイン・ファーストアウトな走行はやめ、エネルギー回生に徹する走りに転換し、命からがら家浦港の充電スポットにたどり着いた。これで丁度3周目完了である。



 家浦港に着いたら充電する前にIGをOFFにして、店の人を呼びに行った。「もう電池がなくなっちゃったよ〜」。
 充電を開始するため、車を充電スポットに移動させようとIGをONにしようとしたら、ONできない(再起動できない)。なんとIGがONにできないほどバッテリーが弱っていたのだ。まさにギリギリセーフである。充電スポットまでは車を手で押していき、充電を開始した。



 その際のバッテリー残量は6%しかなかった。この時点での総走行距離は53.7kmであった。



 店の人に言わせると、バッテリーを空にして帰ってきた客は初めてだそうだ。島キッチンで一度充電したことも告げると、もっと驚いていた。このデータは日産に送られているはずなので、こういう走りを日産がどう解釈するかも興味が持たれる。市場を代表する走りの一種と捉えるか、それとも特異事例として無視するか、あとは日産の技術開発に対する良心次第である。私から言えるのは、1回の充電で約100km走行可能という謳い文句は、普通に車を使う感覚で言うと無理があるということだ。
 実は車が1台余っていたので、充電する間に別の車に乗らせろと言ったのだが却下された。となると、電気がたまるのを、ぼけ〜っと待つしかない。



 ぼけ〜っと待っていてもしょうがないので、この時間を利用して各部の詳細を撮影した。次頁からは、内装部分の詳細をお伝えする。