i-MiEV

 ひょっとすると、さきほどのキャロルをしのぐ変態は、この車かもしれない。三菱の電気自動車、i-MiEVである。しかもサーキットを走行した!



 全力疾走しすぎたのか、ピットで充電中(笑)。変態自動車万歳!



 密かに電源コードを触ってみたら、熱くなっていなかった。急速充電ではなく普通充電なのだろう。



 下回りを撮影したところ。確かにモータだ。ちょっと前に、日産のモコ(スズキのMRワゴン)を、i-MiEVの宣伝代表色である赤と白に塗った訳のわからない車を見たことがあるが、確かにこれは正真正銘の電気自動車だ。



 こちらはフロア下の電池が入っている部分。



 電気自動車というと「静か」というイメージがあるが、サーキットを走る電気自動車はうるさかった。うるさいというか、「キーン」というような耳障りな音を出しながら走るのだ。もちろんタイヤから発生するロードノイズもあるので、耳障りな音を差し引いても、エンジンで走る車(ノーマルマフラー)と音の大きさで言えばあまり変わらない感じがした(車室内の音はどうなのか不明)。



 最近は電気自動車に注目が集まっているが、車を知らないマスコミは、

 電気自動車=電気製品=メモリと同じで性能は上がって価格は下がる

 と勘違いしているのではないだろうか。モーターや電池以外のシャシーや内装部分もそれなりの価格はするので、そう易々とは値段は下がらない。それでも電気自動車を日本に普及させるというのなら、電池の性能が飛躍的に進み(Liイオン電池の次々世代の電池くらいの性能)、税金と駐車場代がタダになるくらいじゃないとダメだろう。例えば、軽自動車よりさらに下の規格の車を作って製造コストも税金も下げるといった具合である。
 それともアメリカのカリフォルニアでZero Emission Vehicle (ZEV)=電気自動車の販売が義務づけられることを先読みしての過熱報道なのだろうか。はたまた箱物公共工事がしにくくなった代わりに、充電設備などのエコ関連工事が動き出し、インフラが整備されるので電気自動車が普及すると読んでいるのだろうか。

 電気自動車が日本で普及するかどうかが占えるだろう車が以前存在した。それが250ccのミニカー。税金は250ccのバイクと同じ、小さいから駐車場代もかからないし、それどころか発売当初は2輪の免許で乗ることができた。しかもガソリンで動くから、充電に時間を取られることもない。
 これだけ好条件がそろいながら、結局普及することはなかった。原因は種々あると思うが、知名度の低い会社が作っていて信頼性と保証に問題があったこと、結局のところ人がたくさん乗れて、荷物もたくさん積めて、エアコンもヒーターも付いている車じゃないと売れないと言うことなのだろう。このことは他ならぬ我々2シーター乗りが証明している。
 セカンドカーとしての電気自動車も成立しないだろう。用途が限られるセカンドカーを保有できる世帯なんて少ないことは、これまた他ならぬ我々2シーター乗りが証明している。話は横道にそれるが、「用途が限られ(割り切ることができ)税金と駐車場代がほとんどかからない」という点では、電動スクーターなら普及する可能性は高いとも言える。

 安い電気自動車を作るため、中古車のエンジンをとっぱらって電気自動車にするというビジネスもあるが、知名度の低い会社が作ると言う点で250ccミニカーと同じ運命をたどるだろう。ハイブリッド車の進化のスピード(現実)と、マスコミが勝手に思い描く電気自動車の進化のスピード(妄想)と比較すると、電気自動車が現在車に求められる性能をすべて満足するには、相当ハードルが高いと思ってしまうのであった。
 電気自動車にせよ、ハイブリッドにせよ、現段階では本当にエコロジーなのはどういう状態にあるものなのかを考えるきっかけになればいいかなあと思う次第だ。本当にエコロジーな製品とは、数々の試行錯誤を繰り返しながら、設計や製造、設備投資へのエネルギー投入量、耐久性、廃却やリサイクルする際のエネルギー消費も含め「落ち着くところに落ち着いた」物だと思う。個人的には、夜間に発電しない太陽電池や、雷や台風ですぐ壊れる風力発電はエコロジーな製品とはとても言えないと考えるし、そんなものを建設もしくは補助金を出すのは、実施困難となった無駄な箱物公共工事が姿を変えたものだと思う。



 次回は、T-REXを中心に紹介する。