概要

 サブプライムローンの破綻に端を発し、世界中の経済が大打撃を受けているさなかに行われた今回の輸入自動車ショー。そのためか前回までとは明らかな変化があった。アメ車の出展が極端に少なくなったのだ。それを示すのが下の写真。アメ車のコーナーは丸印で示した所だけである。



 となると、会場を別の車で埋めなければスカスカになってしまう。幅を利かせたのがヨーロッパ車。しかしヨーロッパ車はメーカー毎にデザインがよく似ている車が多い。そのため同じような車であふれかえってしまった。








 というわけで、スタイリング的には個性の感じられない車ばかりが展示されることになった今回の輸入自動車ショー。その中から個性的な車を探し出し、紹介しよう。


 その前に、展示されていた断末魔のアメ車を紹介する。アメリカでは通勤に自動車が多用されるが、無意味にデカイ車(というかピックアップトラック)で通勤する人が多い。燃費は極悪で高速燃費ですら5L/kmなんてざら。こんな車に乗って片道100kmを毎日往復するなんて人が数多く存在する。08年の夏にはガソリンが日本円換算で60円/L程度に上昇。そのため1日の通勤費(ガソリン代)が2400円くらいになる人が続出した。ちょうどそのころ日本では185円/Lだった。それで換算すると、1日あたりの通勤費が7400円にもなる(高速道路代を除く)。こいつらっていったい何を考えて生活しているのだろうか。自業自得だ天誅だというのは簡単だが、日本も甚大な影響を受けている以上、放っておくわけにもいかない。





 あと防忘禄として、サブプライムローン関連の顛末を記す。

 07年に起こったアメリカのサブプライムローン(プライムではない=低所得者向け住宅 ローン)の破綻に端を発し、08年のリーマンブラザーズ(今にして思えば、いかにもうさんくさい外資系という感じのする名前だ)の破綻によって世界中に一気に広まった金融危機。「デリバティブ」と呼ばれる金融工学を駆使して作られた複雑な金融商品がパーとなり、損失の実体さえわからなくなってしまったことにより信用不安・資金の枯渇が起こり世界中が機能しなくなった。これが車の販売にどう関係したかというと、ローンが組めなくなって販売台数が急減したのだ。特にクレジットカードを多用し、住宅を担保とし、さらには住宅価格が上がると見込んで事実上無担保審査で車のローンを組みことが当然のようになっていたアメリカでの影響は大きく販売が急減速した。そのあおりを食らい日本でも夜勤の停止・工場の一斉休業などで在庫調整を行うはめになり、09年1月の生産は各車とも前年比30%〜50%以上生産台数まで落ち込んだ。
 アメリカでのビッグ3の影響は甚大で、特にGMとクライスラーは破綻の危機を迎えた。彼ら自身、自動車のローンを債権化商品としていたため、どれだけ損失がでるかわけがわからなくなったのだ。そのため数兆円にものぼる多額の資金援助を受けることになった。援助要請のために議会へ自家用ジェットで行き、「なんで自家用ジェットなんか持っているやつが資金援助を受けるんだ。ジェット機売れ」と散々叩かれた。また叩かれたのは車の商品性である。金融危機の前はオイルショックや排ガス規制といった自動車産業を揺るがす危機を何度も迎えた。それに対しアメリカの自動車産業は、何だかんだと難癖を付けた上で規制を可能な限り回避し、規制に対応した商品を売るということは後回しにして、短期的に利益が上げることのできる利益率の高い大型車を中心に作り毎度大コケしてきた歴史がある。さすがに同じ失敗はまずいと、資金援助を受ける=将来借金を返せる目処を示すため、「電気自動車などの環境対応車を発売する」と言ったものの、問題は坂を転がり落ちている状況をどうくい止めるかである。手遅れである。