全日本学生フォーミュラ大会、その2

 この車、先ほどの車と比較するとかなりずんぐりむっくりしている。見た目はフォーミュラカーというよりゴーカートのようにも見える。東京大学の車だ。




 なぜかというと、エンジンがドライバーシートの横に付いているためトレッドが広くなったからだ。ドライバーの体重を考えると、重量バランス的にみて最も理想的のように思える。ドライバーである学生はいずれ卒業するため固定できない。毎年マシンも変化していき、車が完成するのは徹夜の突貫工事でレース直前なんてことはこの世の常だろう。コースレイアウトにもよるが、安定して上位入賞を目指すには、ドライバーがすぐに慣れることのできる、このエンジンレイアウトが良いのでは?(練習用の車があれば話は別だが) リアミッドシップ乗りの実感である。




 この車、タービンがついている。レギュレーションからすると一品物のはずだ。




 リア部分。わかりにくいがチェーン駆動でデフはない。先に紹介した車もデフは付いていなかった。旋回性は悪くなるが、それ以上に軽量化&低コストのメリットの方が大きいのだろう。




 第一回目の際、NHKかどこかが出場マシンをテレビで紹介していた。画面に映った車を見る限りは技術的に結構手の込んだ車が多かった。技術者の悪い癖で、勝利という目的を忘れ新技術開発に走ったのである。新技術こそ勝利の近道であると錯覚するのだ(自省)。しかしそれは信頼性を低下させ、重量を増やし、開発コストと工数もかかるという弊害をもたらすものであった。この2台をみると、そんな悪い癖が感じられないところがよかった。



 人とくるまのテクノロジー展のレポートはこれでおしまい。一般にはなかなか見る機会のない展示会であった。