バンパー to バンパーリサイクル

 この技術は、バンパーに使われているプラスチックを、またバンパーに再生する技術である。バンパーは基本的に塗料とポリプロピレン(PP)で出来ており、余分なものが付いていないためリサイクルしやすいのと、バンパーに使われているPPの種類が結構高品質=高価なので、リサイクルする意味合いが大きい。





 この技術のミソは、塗料のついたバンパーをいかに除去するかにある。もし塗料のついたままのバンパーをリサイクルし、完成したリサイクルバンパーに塗装すると、表面にぶつぶつが出来て見栄えが悪くなる。ぶつぶつの原因は、リサイクル前についていた塗膜の残りカスである。

 バンパーを粉砕した直後のもの。矢印で示してある赤いのが塗膜である。他の部分は黒いが、これは塗装しているため黒くなっているわけではない。耐久性を上げるため、PPの中にカーボンブラックが入っているから黒いのだ。





 粉砕した直後のバンパーから塗料を剥いだもの。矢印で示すよう、若干残っている。これでは不完全なのだ。





 この技術が使われた後の選別工程後のもの。塗膜のついているPPがほとんどなくなる。





 ペレット化したもの。これがリサイクルバンパーの原料となる。





 この技術は風変わりなコラボレーションで出来ている。塗装が付いているPPと付いていないPPをより分けるのに、精米器の技術が使われているのだ。スーパーで買ってくる米は全部白いものばかりなので、米って全て白いものだと思っていたのだが、実際は虫に食われていたりして部分的に黒くなっているものがあるとのこと。その黒くなった米のみをより分ける技術が応用されて、塗膜のついたPPをより分けている。精米器のメーカーは同じ広島にあるサタケという会社である。より分ける原理はカメラで1粒1粒を認識し、不良品があるとエアで飛ばしてより分ける。








 今回はこれでおしまい。次回は横浜R&Dセンターにあるマツダミュージアムに展示されている車を紹介する。ちなみに私的な目玉は、NSUバンケルが作った本物の1ローターロータリーエンジンの現物だ。