摩擦熱を利用したアルミ接合技術

 溶接は、金属を接合する方法の1つである。自動車では多くの場合、スポット溶接が用いられている。スポット溶接は通常の場合、電気で金属を溶かして点接合する。鉄板なら堅くて溶けにくいので問題ないのだが、アルミとなるとそうはいかない。柔らかくて溶けやすい。これをスポット溶接すると、溶接できずに穴が開いてしまうのだ。
 さらにまずいのが、電気を大量に消費するためコストアップにつながる。軽いからいいというのは分かっているが、アルミの接合にはこのような問題点があるため、自動車にはなかなか適用されなかった。が、この問題を一気に解決してしまうのが、摩擦熱を利用したアルミ接合技術なのである。





 どうやって接合するかというと、円筒状の接合ツール高速で回転させ、重ね合わせた2枚のアルミ版に押しつける。接合ツールは回転しているから摩擦熱が発生する。その発生した摩擦熱でアルミを溶かし、接合してしまうのがこの技術なのだ。今まであるようでなかった技術だ。





 どんなメリットがあるかというと、もう安く作れるという一言に尽きる。使う電力は、接合ツールを回す・加圧するために使うくらいですむ。設備投資費用も大幅にカットできる。これが環境改善につながるのだ。あとはアルミ自体が安くなれば言うことなしなのだが・・・





 この技術が使われているRX-8のリアドア。





 くぼんで見える部分が、この技術を使って接合した部分だ。鉄のスポット溶接よりも深い。





 横から見たところ。確かにくぼんでいる。この写真をみて分かるのが、この技術は溶接棒なんかを使って、2枚の板をびちょーっと溶接することは出来ない。