概要

 今年の天候は大荒れ。突然大雨になったりして大変だった。スケジュールが大幅に遅れることを余儀なくされたため、オフィシャルの人は本当に大変だったと思う。参加人数はTipoの記事によると約1万2千人。個人的には過去最高の入りではなかったかと感じた。というもの第一コーナー後のスタンドに人が入っていたからだ。

 このように毎年大盛況でエントラントとしても嬉しい限りなのだが、回を重ねる毎に私自身迷いが生じている。それは誰が主役なのか、また誰のために行っているミーティングか分からなくなっているという点だ。田圃に突っ込んだ去年を除いて、初回から全て参加している・また毎年レポートを残している身だからこそ、余計に感じてしまうのだろう。
 結論から言うと、「だれもが楽しめるイベント」と称していながら、実際はフェラーリ等のオーナーが楽しむもので、一般来場者にはフェラーリなどを見物させて楽しませているイベントではないかと思えてしまう点にやり場のない寂しさを感じる(非常に極端に言えばフェラーリ等以外の他の車のオーナーが、ポッカリとのけ者にされているといこと)。もちろん、CORNSがメインのスポンサーであり、一般の人をたくさん呼ばないと商売にならないからやむを得ないことは理解できる。今回の企画として「スーパーカー・スーパーカー」同時開催ということもあった。「みんなが楽しめる」よう工夫した目的とメリットについては、Tipoの10月号に1ページ以上を割いて異例とも言える扱いで詳しく書かれている。要旨を述べると、「家族も含めてみんなが楽しめる車のイベントにしないと、家族サービスで家族を車のイベントに連れてきたつもりが、楽しんでいるのはお父さんだけで、家族からは反感を買ってしまうのを避けるため。また次世代の自動車趣味を背負って立つ子供達に車とふれあう機会を作るため」だという。なるほど、面白い視点だと思う。例えば試乗会もあり、コモンレール式のディーゼルエンジンやDSCに関するお勉強のコーナーもあり、車を転がすだけの規模がデカイだけのイベントではなかった。

 が、自動車趣味の本道を追求する当HPとしては、このやり方にあえて異を唱えたい。なぜかというと、誰もが楽しめるとの宣言が災いして、誰のためにあるのかが見えにくくなったためだ。一言で言えば総花的すぎ。揚げ足を取っているわけではないが想像してみて欲しい。フェラーリから軽トラまで網羅した(J's)Tipoが常態化したら面白いだろうか。雑誌とイベント運営は違うとは言え、ターゲットが明確だからこそパワーが集中できて面白い物ができるのだと思う。
 具体的にどう改善していくかだが、「みんなが楽しめるイベント」とは言わず、あくまでも趣味の車の人を主役に据えた上で、主役と一般の人が楽しむというスタンスがよいのではないか、昔はそうじゃなかったのかと思う。さもなくば前述の通りいっそのこと「フェラーリの祭典+一般来場者が楽しむイベント」だと言ってくれれば、我々も「のけ者というか脇役、引き立て役」の立場としてすっきり楽しめるのだが。またはCGのミーティングのようにテーマ(主役)を決めてスポットを当てるというやり方なら、みんな楽しめるかもしれない。「フェラーリの顔を立てる」というスタンスがあらかじめわかっていれば納得がいく。中途半端な形になるのが一番いかん。

 このような空気を感じ取っているのか、昔に比べると旧車の参加率が極端に落ちてきた。旧車が来てもナンバーをみると、この手のミーティングの経験が少ないと思われる3桁のものがほとんど。前々から旧車を所有しているベテランオーナーの参加は少ない。出店しているショップも、車の部品等を売っているところが少なくなってきている。「みんなが楽しめる」イベントのはずなのに、車趣味を引っ張っていく一番重要な・一番多数を占める人達がポッカリ抜け落ちてしまった、所期の思惑とは異なるイベントになっているのではないだろうか。
 なぜこのような事になってしまったのだろう?? 関西はともかく関東あたりからもフェラーリ等を大量に引っ張ってきて目立ちすぎていること、走行会等でフェラーリ等の走る時間帯が非常に多く割かれていることが「フェラーリのための祭典」化につながったと誤解を受け、他の車のオーナーを引かせてしまっているように感じる。





 あと主催者の人が良すぎる。実はオーバーヒートミーティング終了後にメールが来たのだが、その内容は「昼の弁当の数が足らず、皆さんを不快にさせて申し訳ありませんでした」との旨だった(我々は問題なく食べることが出来た)。近年不祥事が起こるたびに企業が謝罪し、その影像がニュースで流れている。早め早めの対応はリスク回避を行うためで重要なやり方のひとつだが、「みんなが楽しめる」と定義したが故に発生した丁寧すぎ・気の使いすぎだろう。
 ま、ともかく、「みんなが楽しめる」とは言わず、弁当ごときでうだうだ言い出すオーナーが来なくなるようなバシッとしたスタンスなり敷居の高さを設定した方がいいんじゃないのかなあと、趣味の車のHPを運営している者としては思うわけでありまする。もっというと、こんな些細なことに気を使うよりも、自動車のイベントとしての本質的な部分=ターゲットをどう絞り、車を通じて彼らが満足するにはどうするべきかという点に気を使った方がより面白く意義あるイベントになるものだと、いろいろ自動車関連のイベントを主催したことのある者としては思うわけでありまする。「みんなが楽しめる」と宣言とたん「話が違うじゃないか」言い出す奴が方々から出てくるもんだ(←あ、俺もか)。本業の雑誌ではターゲットを絞っているから面白いものができているわけだから、その路線をあえて変更する必要はないだろう。ターゲットを絞っていれば「面白くないじゃん」と文句を言われても「それはあなたがターゲット外だからです」と言い返せる。家族から反感買ってもそれを押さえつけるのがこの手の車を持つ者に必要とされる力量の1つであることからして、いちいち家族の事まで気を遣わなくてもと思ってしまう訳でありまする。どうしても言いたいのなら、「みんなが楽しめるイベントを”めざす”」というどこかの家電量販店が言っているような目標型のキャッチフレーズにしたらいいといいと思う。気を使う必要もなくなるのでその方が楽だし、方向性も定まってより良いイベントになるとおもいますよ。