温間時アイドル不調の原因

 結論からいうと、その意外な原因とは・・・オイルクーラーの冷却系の詰まりだった。これはなかなか気が付かない。オイルクーラーの冷却系の詰まりによって、エアの吸い込みと同じ現象が発生し、アイドルが不調となったのだ。これらにいったいどんな関係があるというのか、それを説明していきたい。

 まずAZ−1の冷間時アイドルアップの仕組みについて説明する。この頃のF6Aはコンピューターによる電気的な制御とスロットルボディーについているサーモワックスによる機械的な制御の2つが組合わさって出来ている。これを元に今回の原因を簡単に説明すると、機械的にはエンジンが冷えていると判断してアイドルアップ用のバイパス回路を作動させているところに、コンピューターはエンジンが暖まったから燃料噴射量を少なくしろと指令を出し、結果混合気が薄くなってアイドル不調となったのだ。
 「さっきの原因の説明と全然違うじゃん」と思われるかもしれないが、機械的制御の部分が関係している。オイルクーラーの冷却系の水路はスロットルボディーのサーモワックスの水路の前にある。つまりオイルクーラーの冷却系が詰まってしまうとサーモワックスにクーラントが流れないために暖まらなくなり、アイドルアップ用のバイパス回路が開きっぱなしになる=アイドルをアップしようと作動している=エアを吸い込んでいるのと同じ現象が起こっていたのだ。
 下の図は、スロットルボディーとオイルクーラーのクーラントの水路を示す図。白い矢印がクーラントの流れる方向だ。オイルクーラーの冷却系が詰まると、スロットルボディーのサーモワックスまでクーラントが流れなくなる。





 なかなかわかりにくい説明で申し訳ないのだが、これが精一杯。とにかく温間時にアイドルが不調のときは、まずエアの吸い込みを疑ってみるのは当然として、オイルクーラーの冷却系の詰まりも疑ってみよう。それでダメならスロットルボディーにあるサーモワックスがダメになっている可能性がある。

 オイルクーラーの冷却系に詰まりがあるかどうかの確認のしかたは後のページでお伝えする。次頁ではスロットルボディーの構造を見ていきたい。