土石流でつぶされた車を見る、その1


 2014年8月、大雨がふり広島市安佐南区及び安佐北区にて同時多発的に土石流が発生し、数多くの死傷者・被災者がでた。山を切り崩して造成した団地を襲った今回の災害は、似たような団地が存在する日本各地に大きな衝撃を与えた。土石流は治山治水の行き届かない山奥で発生するものであって、何もかにも整備されている市街化区域に被害が及ぶことはないという話ではなかったのである。

 解体屋の許可を得て、土石流で廃車となった車の破壊状況・浸水状況の確認を行った。広島の土石流から半年、東日本大震災から4年。それぞれの被災地の傷が癒えていないことも考えると、このタイミングでこのようなレポートをアップするのはどうかと思ったが、類似事例から車を守ることを考えていくうえで公開したい。

 今回の土砂災害で個人的に考えさせられたのは、災害の風化を止めるために先人達が作った石碑である。達筆で書かれているため、石碑の存在は知っていても何が書かれているか文字が読めないのである。「鎮魂」みたいな言葉のみが書かれて、警鐘となっていないものもある。「ここには住むな」、「この山は崩れる」みたいなもっとわかりやりやすい書き方がしてあれば、警鐘も継承もでき、いざという時の備えができていたのではないか。
 地震や津波は予測が困難なためいざというときの対応はできないとしても、雨による災害は気象レーダーと各自治体で作られているハザードマップを見ていれば、事前の対応ができたのではないか。そういう思いもあって、今回のレポートを作成している。


崩れた屋根につぶされたと思われる車
泥水に水没したと思われる車,内装部分
泥水に水没したと思われる車,エンジン部分
泥水が車前方からおしよせたと思われる車,下回り
泥水が車前方からおしよせたと思われる車,内装部分