V字型に飛ぶインジェクターの理想的な取り付け方

 試験装置用の配線ではなく、実車に使われているワイヤーハーネスを使って、V字型に飛ぶインジェクターの理想的な取り付け方ができるかどうか検討してみた。



 左右のインジェクターは、理想的な位置にある(ただし、常にこの位置に固定できる状況ではないが)。ところが、中央のインジェクターだけ斜めに付いている。インジェクターのコネクタがレギュレーターと干渉するため、斜めになっているのだ。



 その際のインジェクターの噴射口。斜めになっている。これは理想的な状態ではない。



 が、理想的な状態にできる方法がある。コネクタを反対側にするのだ。



 反対側にすることで、今度はインマニと干渉するのではないかと思ったが、それはなかった。また、ハーネスが届かないことも予測されたが、問題無く取り回しできた。



 その際のインジェクターの噴射口。



 全てのインジェクターのコネクタを、インマニ側にしてみた。写真左右のインジェクターも問題無く取り付けることができることが確認できた。





 ただし、F6Aのデリバリパイプの構造上、インジェクターの向きが固定できるようになっていない。実車では振動が加わるため、何らかの方法で固定しないとだめだろう。なお最近の車は、スズキの車でもインジェクターの位置は固定されている。

 V字型に噴射されるインジェクターを理想的な位置に固定した場合、どのようなメリットが出てくるのだろう。確認されたのは、エンジンスタート時にスモークが出なくなったことだ。我々として一番期待しているパワーアップだが、「パワーが上がったような感じがする」とのことで、定量的な改善効果結果は得られていない。
 そもそも、F6Aの噴射制御は完全同期噴射ではない。IN側のバルブが完全に閉じられている状態で燃料を吹くような制御となっている。そのため、ガソリンの飛ぶ方向はあまり関係なく、とにかく規定量の燃料さえ噴射すればそれでいいという考え方である。V字型に噴射されるインジェクターが付いているK6AのDOHCですら、インジェクターは固定できるようになっていないものもあることから、それが裏付けられる。


 というわけで、ここまで散々やってきたのだが、V字型に飛ぶインジェクターに交換してもあまり効果は期待できないようだ。同様に霧化がよいインジェクターも何ら効果がないものと思われる。霧化はもともとエミッション改善が主目的だからである。