クルージング

 世界中どこへ行っても日本人観光客だらけ。悲しいかなこれが現実である。しかし、世界的にはメジャーな旅だが、日本人がほとんどいない最後の秘境のような場所が残されていた。それが豪華客船でのクルージングだ。実際、2000人の乗客の内、日本人は我々夫婦だけだった。中国でもマレーシアでも日本語を使う人が周りにいたため、ようやく海外旅行をした気分になった。

 クルージングには様々なメリットがある。
1.クルーズ代金には、基本的にアルコールとカジノ、オプショナルツアー(ショアエクスカーション)を除く全てが含まれている。つまり、宿泊費や食事も代金の中に入っており、食べ放題である。
2.寝ている間に次の目的地まで移動してくれる。
3.つまり、目的地で遊び、船に帰ったら昼食や夕食をとり、一日の締めとしてショー(当然無料)を見て寝たら、次の目的地まで到着している。寝ている間以外は遊び放題になる。

 一方、普通のツアーでいうと、飛行機に乗って空港に到着し、ホテルへ直行。翌朝、バスに乗って目的の観光地に向かい、数時間遊んだ後にバスにのってホテルへ帰る。そして飛行機に乗って帰国する、というパターンとなる。クルージングに比べると、観光に行ったのか、飛行機やバスに乗りに行ったのかわからないような行程になる。
 クルージングがどんなものか知りたい人は、BS朝日で「世界の船旅」という放送を月曜の21:00からやっているので、参考にして欲しい。おおよその感覚がつかめるはずだ。

カーニバルパラダイス号のアトリウム


 カーニバル・パラダイスのHPはここ。中にはsushi bar(寿司バー)があり、大人気だった。欧米には「日本の文化を知っているとインテリ」意識があるのだが、これは全て名も無き偉大な日本の先人が活躍したからこそ生まれたものである。感謝するしかない。
 ちなみに寿司職人が握っているのかと思いきや、とりあえず日本の服装をした明らかに日本人ではない人が、100円ショップで売っている寿司を作る型に酢飯を押し込んで形を作っていた。お味はというと、酢がきいている米粒と、きいていない米粒が混ざっている感じ。醤油はキッコーマン。わさびだが、これは客が好みに応じて取る。が、わさびをすくい取るさじが、アイスクリームディッシャー(アイスクリームをすくうときに使う、半球状の物体がついているスプーンみたいなやつ)だった。それを使ってみんな大量のわさびを取っていた。わさびは抹茶アイスじゃないだぞ(笑)。死ぬ。
 日本酒も売られていた。銘柄は松竹梅。価格はone cupが$1.25。ワンカップと言えば大関。容量は180mLだと、日本人からすると相場が決まっているが、サイズはおちょこだった(爆死)。こんな高いもの飲めるか!


 カーニバル・パラダイスのHPにはいろいろ書いてあるが、一番面白いのがFAQ。よくよく読んでみると、持ち込み禁止品の中に「ミサイル(missile)」があった。おまけに、プロペラで飛ぶのもダメとかいてある。プロペラで飛ぶミサイルなんてあるのか?? はじめはロケット花火の意味かと思ったが、どうもそうではなさそうだ。わざわざこんなことを書くということは、過去に持ち込んだ人間がいるのだろうか??

 船には当然プールもある。4月なのにみんな泳いでいるので驚く人も多いのだが、温水プールになっているため全然問題ない。プールの横にはバーやレストランがある。このクルーズでは1日だけJapan dayなるものが設けられて、日本食が出た・・・焼き鳥があったがサイズはどう見てもバーベキュー。「ねぎま」にしたかったのか、ネギの代わりにタマネギがさしてあった。やっぱりこれは牛肉が鶏肉にかわっただけのバーベキューではないか! あとは、そうめんか、うどんかよくわからないものもあった。



 避難訓練などをやったあと、ロングビーチを夕方に出航したカーニバルパラダイス。半球状の建物が入国管理局で、後ろに見える船が、昔の客船クイーンメリーである。日本人にとって「発進」は「ヤマト発進!」、「ガンダム大地に立つ」・・・といった具合に特別なものだが、アメリカ人にとっては大した意味合いを持たないようで、出航シーンに黄昏れることなく早々にカジノへと流れ込んでいった。我々は一人1本のみ無料で持ち込みが許される酒(スパークリングワイン)で乾杯。
 ちなみに船からはインターネットにも繋がる。衛星回線でつなげるのだ。料金は従量制と時間制がある。私は30分で$16.5のコース。$0.55/分の計算になる。約40円/分だ。こんなに高い接続料金は久々に経験した。「アクセスポイントが東京にしかない」といったような初期のパソコン通信状態である。しかも船に乗ってネットをやろうなんて人間はほとんどいなかった(笑)。



 ディナーはレストランで取る。テーブルと時間はあらかじめ決まっていて、毎晩同じ人と相席になる。相手は韓国人か中国人だろうと事前に想像していたのだが、案の定中国人であった。といっても、ロサンゼルス在住で香港出身の中国人とのことで一安心。つまり、まともな連中ということである。話していると「香港人と中国人は別の人種だ!」というスタンスを取っているようにさえ感じた。中国政府の様々な愚行をみるにつけ、負い目を感じているのだろう。
 船内にはいろいろな国の人がいて、共通語は英語、仲間内で話し合うのは母国語になる。乗員もいろいろな国の人なので、適当な英語でも通じる(意を介してくれる)。


 翌朝起きると、既にメキシコに到着していた。アホみたいに巨大な国旗がたなびく「エンセナダ」というところだ。日本語表記では「エンセナーダ」と書かれている場合もある。どちらが正しい言い方なのかと思っていたが、現地に行ってみると同じ人でも「エンセナダ」もしくは「エンセナーダ」と言っていた。どっちも正しいみたいだ。



 船上から町の様子を撮影していると、岩場一体にうごめく物があった。



 よく見ると、アザラシかトドである。メキシコにこんな物がいるとは知らなかった。下船して近くに寄ってアザラシか何かと戯れようと思ったが、「セキュリティーエリアだ」ということで近づけなかった。



 さて、ここからいよいよ本論の車である。バスに乗っての観光をしつつ、車に目をやっていた。するとメキシコには信じられないような車がたくさんいた。それを列挙しよう。写真があればベストなのだが、写真を撮っていると「なんで俺の車の写真を撮っているんだ!」といって撃ち殺されても困るので、写真は無し。
1.30分の間にトリビュートを3台見た。広島でさえ絶対に見られない光景である。
2.マツダで作っていたフォード車のプローブがいた。
3.プロテジェ(昔のファミリアの輸出名)が結構いた。
4.ホンダ車は総じて塗装がボロボロであった。
5.5ドアハッチのAE86がいた。さすがに、藤原とうふ店とは書かれてなかった。
 メキシコの特産品はテキーラとワインとのことだったが、「それ以外にもあるだろ!」と言いたくなる物が・・・バイアグラである。至る所に店がある。薬局ではなくバイアグラ専門店である。一番派手だった店がここ。スーパーマンのような絵をよく見ると、「ふくらんでいるだけで、立ってない」(笑)。あまり効果がないのだろうか??



 終日洋上で過ごす日を経て、ロサンゼルスに帰ってきた。帰ってきたといっても、一旦メキシコに出たため入国審査がある。ここで一言。メキシコ土産でメキシコ人みたいな格好をしてはいけない。メキシコ人と間違われて、審査にとんでもなく時間がかかる。なんと人種差別的な入国管理局だ! それに引き替え我々はそこそこ早かった。早いと言えば意外だったのがフィリピン人。日本人より早かった。フィリピン人って、実はエライ人たちだったのだ。
 宿泊場所はアカデミー賞の授賞式が行われるコダックシアターの隣にあるホテル。ハリウッド&ハイランドセンターと呼ばれる一帯である。ここからは、かの有名なハリウッドサインがよく見えるのだ。



 この一帯にあるチャイニーズシアターの前には、歴代映画スターのサインなんかもある。



 宿泊したホテル(ルネッサンスハリウッド、←リンク先はそこの地図)の部屋からは、ハリウッドサインも拝むことができた(矢印部分)。写真左に見える教会は、「天使にラブソングを」での撮影に使われたところだそうだ。教会内部だけ撮影に使ったのかもしれない。



 安いツアーでは、ホテルがダウンタウンになるような設定ばかりなのだが、ハリウッドを楽しむのならホテルはルネッサンスハリウッドに決まりだと思った。


 再度本論の車である。ハリウッド&ハイランドセンターの前で以下の車をみた。
1.ビークロスをみた。信じられない!
2.デルソルを見た。2台も見た!
3.ホンダ車の塗装は他社の車と比較して飛び抜けて悪い。完全にクリアがはげている。
 ロスで共通していたのは、プリウスが多かったことだ。見た目、日本並みにいる。ただ、フリーウエイを走ると、ハイブリッドの効果はあまり発揮されなくなるので意味はない。
 またオープンにして走っているオープンカーが多かった。日本では考えられないことだ。日本の常識では、オープンカーとは屋根を閉めて走る車のことなのだが。「なぜオープンカーに乗っていながら、オープンにして走るのか?」とアメリカ人に聞いてみたいところだった。同様に「なぜオープンカーに乗っていながら、オープンにせずに走るのか?」と日本人にも聞いてみたい。

 次頁から、アメリカで買ってきた自動車雑誌を「引用」という形で紹介し、彼らの車に向き合う姿勢を見ていきたい。