中国の暮らしぶりの変遷

 上海万博に行き損ねてしまった私なのだが、極めてラッキーなことに「中国館」のみ再オープンしたので行ってみた。



 早朝から行ったのだが、ものすごいたくさんの人がいたので、本番の上海万博に行かなくて良かったと思った次第だ。入場するのに1時間以上かかってしまった。



 手ぶれなどがあって非常に写りが悪いのだが、中国の人の暮らしぶりの変遷が展示してあったので紹介したい。が、この展示が平均的なレベルを表しているのか、それとも当時の最上級の暮らしぶりを示しているのかよくわからない。
 最初は1977年。中央に見えるのはラジオで、日本で言うと戦後間もないラジオのようなデザインをしている。大きさからすると、真空管が使われているのに間違いないだろう。テレビはない。



 次は1988年。テレビが登場したが白黒テレビである。あまりのことに驚いていると、「日本はいつカラーテレビになったのか」と聞かれてしまった。「1960年代にはカラー化した」と答えると、逆に驚かれてしまった。少なくとも1988年の生活レベルはある程度信憑性があるのだろう。



 1998年。テレビはカラー化した。



 最後は現在。一部は確かにこの通りだが、絶対に平均的なレベルではない。これは明らかに嘘である。



 個人的主観に基づき中国の住宅を大別すると、「高級」、「ボロ」、「貧民窟」の3種類に分かれる。「普通」がないのだ。前述の通り、「高級」はバブルのために空き家が多く、「ボロ」と「貧民窟」が大半を占める。例えば「貧民窟」は、崩れかけた煉瓦作りの家で結構たくさん存在する。中国には土地の所有権というものが無く、有期(70年だったかな)の借地権があり、しかも政府が立ち退きを要求すると、有無を言わさず強制移住させられる。いつ家が取り壊しになるかわからないということもあり、家自体にはカネをかけないと言われている。そのため「ボロ」と「貧民窟」が多く存在する。そんな家の内装が、上の写真のようになっているとは思えない。

 中国の急激な発展ぶりを示したい展示なのだろうが、「急成長すると、大ゴケする」という歴史の教訓を知っている我々からすると、中国の行く末がかえって不安になるのであった。