走行距離21万キロのF6Aをばらす、その2


 走行距離21万キロのAZ−1のエンジンを積み替えることになった。10万キロを超えたあたりでメタルがダメになるものが発生するF6Aにおいて、20万キロを超えてもまだ正常であることはほとんど奇跡と言っていい。中身をあけると我々にどのような奇蹟を見せてくれるのだろうか。非常に興味が持たれる。

 しかし、前回このエンジンを分解したところ、下記のような状況であると推定されることがわかった。
1.シリンダーブロックはAZ−1のではなく、ジムニーのがついていた(唖然)。
2.ヘッドにもオーバーホール履歴がある。特に、バルブスプリングリテーナーは、別のエンジンのものがついてた。
3.ブリーザーケースの形状から、カムカバーはAZ−1専用だった。
4.「EPI」の表示の向きから、インマニはAZ−1専用だった。


 以上の事実をもとに以下のように断定もしくは推定する。
1.カム及びカムカバーは、21万キロを走行しているものと断定する。
2.シリンダーブロックがジムニーのものになった理由は、過走行によりメタルが潰れてクランクシャフトがだめになりエンジンブローになったためと考えられる。修理の際、手近にあったジムニーのシリンダーブロック+クランクシャフトが用いられたと考えられる。
3.その際、ピストンはもともと付いていたAZ−1のものを流用したと考えるのが自然である。
4.断定できるだけの根拠はないが、ロッカーアームは摩耗度合いから21万キロ走行したものと考えられる。ロッカーアームのみ別のエンジンから取ってきた部品とは考えにくいため、シリンダーヘッド及びバルブもAZ−1にもともとついていたものが再利用されており、21万キロ走行したものと考えるのが自然である。
5.リテーナーが変わっていたのは、バルブ摺り合わせを終了して組み直した際、間違ったものを付けたためだと考えられる。

 以上を前提に、各部の計測を行う。

メタル
カムシャフト
シリンダーヘッド、その1
シリンダーヘッド、その2