異彩を放つ石油連盟

 燃料電池だバイオ燃料だと、バラ色のクリーンエネルギーを謳った展示ばかりの会場で、1つだけ異彩を放つところがあった。それが石油連盟のブースだ。さすが石連、敵の懐にあえて深く入り込んで喧伝する等、やることが違う。




 石油連盟とは、簡単に言うと日本の石油会社の業界団体である。バイオ燃料なんかが入ってきたら、その分石油が売れなくなるのは確実なので、あの手この手の引き伸ばし策を紹介していた。さすがに周りの視線がいたたまれないのか、ブースには誰もいない・・・


 とにかく、エタノールを直接ガソリンに入れるな、一旦ETBEにしてから入れろと説明しているの図。仮にETBEにするとしても、エタノールは供給に問題があるからやめとといわんばかりだ。




 エタノールはガソリンより高いと言っているの図。熱量等価ベースで比較する点は、素人には非常にわかりにくい。
 一方注目すべきはガソリンの価格。税金は入っていないとグラフの下に小さく書かれている。税金の入ってないガソリンってこんなに安かったんだ。しかし、実売価格を無視して比較されてもねえ・・・




 バイオエタノールをより安心して使えるよう、現在リスク評価をやっているの図。いろいろ不具合が起きないか事前にチェックするのは確かにもっともな話なのだが、空気からして、バイオ燃料導入引き伸ばし策のように見えてしまう。
 リスクのとりまとめは2007年中に行うとのことなので、AZ−1にレトロフィットが必要か否かはっきりするだろう(多分不要)。なお日本における検証実験は、石連のいうETBE化したものをガソリンに混ぜるやり方と、政府主導でエタノールを3%ほど直接ガソリンに加えるやり方の2通りが行われる。これは2つの可能性を検証しているのではなく、話がこじれた結果である。さすが石連である。




 バイオガソリン導入イメージ。2010年より本格導入される予定だ。




 現状で予測されるバイオエタノールの生産量は、ガソリンの1/10程度と言われかなり少ない。増産するにしても、人間の食料となるトウモロコシが燃料用として使われるため食料事情が悪化するとか(実際、値段が上がっている)、トウモロコシの大量育成には大量の水が必要なため飲料水不足が深刻化するとも言われている。そもそもトウモロコシ等を作るにも電気=石油が使われているので、結局CO2排出量はあまり変わらないんじゃないかということも見えて来つつある。なかなかバラ色の展望が描けない。
 が、強いてバラ色の展望を書こう。地球温暖化の影響で海面が上昇しているといわれているが、これって水が増えるということだから、水不足は解消の方向に向かっているのではなかろうか(アホか)。

 新エネルギー総合展示会のレポートはこれでおしまい。どれが本命なのだろう。