真のオープンカーになれるか? ロードスター、パワーリトラクタブルハードトップ

 マツダのロードスターは、ギネスブックにも掲載されている世界で最も売れているオープンカーである。が、実体は全てのオーナーがオープンカーとして活用していることは少ない。はっきり言って屋根の開く構造をした、屋根を閉めて走る車。情けないことにそれが現状のロードスターなのである。
 オープンカーにならない理由の1つに、オープンにするのが面倒というのがある。面倒ならオープンカーなんか最初から買わなければいいのにと思うが・・・と言う訳かどうかは知らないが、簡単に屋根の開くロードスターが発売された。





 クローズド状態で後ろから見た写真。これが12秒で開いてしまうのだ。





 屋根が開く過程をみてみよう。ルーフは、ソフトトップが格納されるのとほぼ同じ位置に収納される。コペンのように、トランクの中にルーフが収まるのではない。





 そのため開閉時間が速くなり、トランクに荷物が入ったままでもオープンに出来るのだ。ルーフがコンパクトに収納できる秘密は、後ろのガラスがはずれながら納まっていく点にある。





 ちなみに下のような半開きの状態でキープすることもできる(笑)。以外にカッコイイかも。





 完全に収納された状態。





 通常のソフトトップの車とルーフ収納部分がどう違うか比較してみた。アンテナを基準にして比較してもらえばいいが、一見似ているようでかなり異なっている。









 あれからパワーリトラクタブルハードトップのロードスターを何度か見た。が、すべてクローズドになっていた。コペンの方がもっとオープン率が高いように思える。

 ロードスター・・・ギネスにも載るZoom-Zoomを具現化したマツダの車。設計者の思いは熱いが、オーナーが設計者の意図した使い方をしてくれていない車。ボンゴは設計者の意図通り、荷物の運搬に使われているというのに。ある意味ロードスターは、マツダの車の中で最も不幸な車なのかもしれない。車を幸せにするも不幸せにするも、全てオーナーの手にゆだねられている。

 ついでに言わせてもらうと「名車に乗っていれば自分はエライ」、「名車を所有してさえいれば自動車文化をやっている(←変な表現)」、「名車を買ってメンテは工場まかせにしておけば自分はエンスーである」・・・こんな風潮がモータージャーナリストを中心にまかり通っているのが悲しい。名車が名車たる所以は、自動車会社なり、レースのワークスチームが築き上げた結果である。オーナーが築き上げたものではない。これでは単に名声にあぐらをかいているだけ、他人のふんどしで相撲を取っているだけである。レースの結果や車そのものに対する論評は残っていても、オーナーが車に対して何をしてきたかの記録が残っているだろうか。
 名車が名車たる所以を、オーナー自らが作り上げていきたい。それが可能な車がAZ−1であると私は思っている。