バネが切れるとドアが開かなくなるメカニズムと対応方法

 ドアのロック機構を開示することは車両盗難などのリスクを高めるため、あまり詳細には開示できないので、極一部部分の写真のみ掲載する。

 下の写真は、バネが付いている状態でのロック機構の一部分。矢印で示す部分に注目してほしい。バネが付いている状態では、右側に位置している。




 しかし、バネをはずしてドアノブを引く、つまりバネが切れた直後にドアノブを引いたことを模擬した状態では矢印部分は左に行ったきりになり、右側に戻らない。この状態で一度たりともキーをロック(運転席側ドアで言うと、キーを左に回す)してしまうと、ロックを解除する方法にキーを回しても(運転席側ドアで言うと、キーを右に回す)ロックが解除できなくなり、ドアが開けられなくなる。このあたりのことは、言葉で説明するよりも、実際に見てみた方が理解しやすい。




 逆に言うと、バネが切れた状態であっても、矢印部分を何らかの方法で右側に移動させることができればロックが解除でき、ドアを開けることが出来るようになる。その何らかの方法とは、振動を与えて右側に移動させるというやり方。前頁で紹介した対応方法も振動を与えるという点において一致している。



 以下に述べる方法は、前頁の方法よりもより確実に振動を与えられることが出来るため、ロックの解除できる可能性が高まる。

 まずフロントをジャッキアップする。今回は運転席側ドアをあけることを想定しているため右側前をジャッキアップしたが、助手席側が開かない場合は左側前をジャッキアップする。ジャッキアップする理由は、上記写真の矢印部分を右側(フロント側に)移動させやすくするためである。写真を見たらリアをジャッキアップしたほうがよいように見えるが、重心の関係なのであろう、リアをジャッキアップしたら叩いて振動を与えてもまったく動かせなかった。




 次に助手席のドアをあけ、運転席側の窓をあける。




 窓に腕を突っ込む。




 キーをロックする方向に回して(運転席側の場合は、左側にキーを回す)から、ドアトリムの矢印部分をたたく。なぜ矢印部分かというと、ロック機構があるためだ。この近傍に振動を与えないと意味がない。




 しばらく叩いたあとに、ロックを解除する方向にキーを回す。運転席側の場合は右側に回す。




 上の写真はキーが水平になるまで回らず、途中で止まっている。これは失敗例でドアを開けることが出来ない。もっと叩く必要がある。その際ポイントになるのが、

必ずキーをロックする方向(運転席側の場合は、左側にキーを回す)にしてから再度内装を叩くこと。矛盾しているようだが、そうしないと絶対にロックが解除できない。その理由は次頁で述べる。




 何度か叩き、そのたびにキーを解除方向に回すと、キーが水平になるはずだ。水平にならなかったら全く別の方法を考えないといけない。例えばキーのロック機構がさび付いていたり、グリスが固まって動きが悪くなっていたりすると、振動程度の力では移動させられないためロックが解除できない。