ホイールの14インチ化(2009年補足)



● はじめに

 ホイールの大径化が進んだ2009年現在、13インチのタイヤは殆どない。あってもセミレーシングタイヤかエコタイヤという寂しい状況だ。AZ−1を公道で楽しく走らせるための要求性能は、ミドルレンジクラスのグリップ特性とコントロール性を持ったタイヤだと思うのだが・・。
 うちの車両もピレリのエコタイヤ、P3000ENERGYを履く。すでに2セット目だ。タイヤ寿命が長いのは良いが、ミドシップとは相性が良くないのか走行性能以前にブレーキすら効かず、何度か怖い思いをしている(子供の飛び出しでブレーキング時スリップして横を向いたetc・・)。このため14インチ化してスポーツタイヤを履かせてみようと思う。選んだのは同じピレリのスポーツタイヤ、DRAGON。いわゆるハイグリップタイヤではなく、普通のスポーツタイヤの由。過剰なグリップ性能は車両ライフを縮めかねないので、まぁこれが妥当な線かな、と思うのだ。
 下図は13インチと14インチの比較。13インチのビジネスライクさに較べ14インチは見るからにグリップしそうなパターンが好印象だ。




● バネ下重量は増加するのか?

 14インチ化する場合、バネ下重量の増加によるデメリットが支配的になりあまり良いことはないというのが通説なので、この点に注意して選んだホイールは、ヘタな社外品より余程軽いといわれるカプチーノ純正。P.C.D.も共通でAZ-1にも問題なく装着できる(ただしAZ-1のハブセンターは細いためハブセントリックしない)。重量増は1本あたり200g(タイヤ含む)に抑えることができた。
 カプの後期型(前期型比−800g!)が入手できれば更に軽量化が可能だが、タマ数が少なく高価い。

外観ホイール/サイズタイヤサイズ重量
アウトストラーダ・
モデナレーシング
5J-13 OFF45
P.C.D 114.3/110.0
PIRELLI
P3000ENERGY
155/65R1310.0kg
カプチーノ純正5J-14 OFF45
P.C.D 114.3
PIRELLI
DRAGON
155/55R1410.2kg



● 走行インプレッション

 走り始めてまず感じたのは、やはりバネ下のドタドタ感。以前のタイヤの乗り心地が良かったこともあり顕著に感じる。私の車両はビルシュタインのショックユニットが組んであり、1G付近の動作はノーマル比で格段に滑らかなのだが、それでもデメリットを完全回避する事はできないようだ。
 一方メリットとしては、タイヤ剛性が上がったせいだろうか、直進性が良くなった。またコーナーでは思ったより内側に切れ込むような印象があり「こんなに曲がるのか!」と感心する。アンダーステアの出方がまるで小さいのだ。逆説的に表現するなら、エコタイヤだった今までが曲がらなかったとも言える。ビタッと真っ直ぐ走るのに、ステアリングレスポンスが良く初期回頭性がよい。スポーツカーとして、これは楽しい。
 加速は軽量ホイールのお陰もあって特に鈍くなったとは思えず、同様に燃費についてもやや悪化する傾向はあるように感じるが、べらぼうなガス食いではない。
 グリップについては、慣らしが終わった頃にクルマの飛び出しを避けて急ブレーキをかけることがあったが、タイヤは鳴きもせず、かなりの減速Gを立ち上げた。



● 総括

 14インチ化する場合、軽量ホイールを選べばデメリットはそれほど気にならないレベルになる。
エコタイヤで我慢してまで13インチを履き続ける位なら、いっそ14インチ化してスポーツタイヤを履いてしまうほうが「スポーツカーに乗ってるんだ」という満足感が大きいし、安全でもある。
 ただしスポーツタイヤの常で、操作に対するダイレクト感が増加する一方で、当然ながらキックバックも増す。あまり神経質なのはいやだという方には、むしろ13インチのエコタイヤのほうが好ましいかもしれない。要は好みで選べばよいのだ。
 外観の印象は、以前の中林氏の記事にもあるようにホイールベースが短くなったような錯覚に陥る。ちょっとミニ四駆のようなおもちゃっぽさが出るようだ。個人的には70’sスーパーカーのような、ハイトの高いタイヤのスタイリングを好むのだが、致し方あるまい。むろんこのおもちゃっぽさが好きというならば、何も問題はない。
 なお本レポートのタイヤサイズを選択した場合、計算上の最外径は標準の13インチより数ミリ小さくなる(半径にして3ミリ程度)が、これは誤差の範疇として無視して構わないだろう。